中国のテクノロジー新特産品、外国人観光客に大人気

日本語 |  2025-12-25 14:33:25

杨雨婷来源:人民網日本語版

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 「中国に行く時は必ず空のスーツケースを持っていこう」。この一見冗談のような話が現在、海外のSNSで話題になっている。折りたたみスマートフォン、AI(人工知能)メガネ、ロボットペット……こうした目新しい中国のテクノロジー製品が、外国人観光客のスーツケースを埋め尽くし、最も誇らしい「東方の土産」になっている。科技日報が伝えた。

 使いやすさから没入体験へ

 巨大な3Dプリントのサンドボックスに歓声が上がり、プログラミング可能な3Dプリント列車が店内を走り回る……広東省深セン市南山区にある拓竹科技有限公司の世界初となる3Dプリント旗艦店では、日本人観光客の信田修一氏がQRコードを読み取り、店内のミニプログラムにアクセスし、モデルファイルを選択すると、自分だけのものづくり体験をすぐに始めた。

拓竹科技有限公司の3Dプリント店(資料写真)

 信田氏は、「専門知識を学んでモデリングしなくても、MakerWorldのモデルコミュニティから直接ダウンロードできる。この体験は本当に素晴らしい」とモデリング愛好者の共通の思いを語った。

 シーンの変革は空間の再構築も加速させている。深セン・華強北地区では、かつて卸売カウンターで知られた電子街が、今や外国人観光客にとっての「テクノロジー版ディズニーランド」となった。ブラジルのバイヤー・リズ氏は、「3日間なければ回り切れない」と話す。

 Rokid(楽奇)ブランドの広報を担当する葉子凌氏は、「言葉はコミュニケーションの道具であると同時に、文化の担い手でもある。技術は交流の境界をなくす。当社のAIメガネが89言語をリアルタイム翻訳でき、貿易協力を促進するだけでなく、異なる文明の距離を無意識のうちに縮めている」と説明。

 没入型体験が新たなトレンドとなる中、消費シーンは単なる取引の論理から、「テクノロジー+」の没入型空間へと移行している。

 中国(深セン)総合開発研究院の院長補佐で、デジタル経済・グローバル戦略研究所の所長を務める曹鍾雄氏は、「即時小売と人・モノ・空間の再構築が進む中、中国のテクノロジー製品市場は、外国人観光客が没入体験を味わい、中国のライフスタイルを感じ取るための新たな入口となっている」と述べた。

 上海では、大規模言語モデルに特化したイノベーション・エコシステム・コミュニティである「模速空間」内のAI先端技術体験店にも、このほど多くの外国人客が訪れている。商品はスマートウエアラブル、スマートフィットネスなど多岐にわたり、その90%が「中国のスマート製造」によるものだ。

 スペイン人女性アンナ氏(25)と恋人のビクトル氏は、入国後2番目の訪問先としてここを選んだ。アンナ氏は、「対話型AIぬいぐるみを買って帰りたい。中国の故事成語を語ってもらい、中国文化を理解する助けにしたい」と期待を膨らませる。

 対外経済貿易大学北京対外開放研究院研究員の孫宇氏は、「テクノロジー製品は、極めて説得力のある新たな担い手へと進化している。その使用と流通そのものが、中国文化と現代の革新精神による最も自然なグローバル対話だ。外国人客による『テクノロジー購入』は、製品の背後にあるライフスタイルとイノベーション文化への肯定と選択だ」との見方を示す。

 ECのスピードからカスタマイズされたイノベーションへ

 夜の帳が下りても、陝西省西安市浐灞クロスボーダーEC産業パークのライブ配信スタジオは明かりが灯り続けている。ロシア人女性レイナ氏の背後の大型スクリーンには、カザフスタンやロシアなどからの注文コメントがリアルタイムで流れている。レイナ氏は、「以前は輸入品の購入に15日かかったが、今は3日で届くようになった。中国のECは本当に速い」と驚きを隠さなかった。

 この速さは物流だけでなく、商品掲載からマーケティングまで、全工程のデジタル再構築にも現れている。

 産業パーク2階では、獅子(陝西)科技有限公司と海外ECプラットフォーム・efactory独立サイトの責任者である馮洋氏が、出社後まずAIデータダッシュボードを開き、前日の販売動向を分析する。馮氏は、「従来の貿易は砂漠でオアシスを探すようなものだったが、今はAIが『衛星地図』を与えてくれた。商品選定からデザイン、掲載に至るまで、AIがすべての工程に浸透している」と話す。

 技術イノベーションと同時に、生産計画や資源配分を柔軟に調整できるフレキシブルなサプライチェーンも効果を発揮している。

 浙江省の森外服飾有限公司が手がける迷彩柄アウトドア帽子は、小型ソーラー扇風機を組み込んだことでヒット商品となり、月間販売量が1万点を超えた。同社責任者の江泳滔氏は、「チームは3年前にこの帽子を設計・発明し、改良を重ねてきた。人気が出ると、義烏の工場は48時間以内に改良版を投入した。この『小ロット・高速対応』を支えるのが、義烏グローバルデジタル貿易センターによる仮想スタジオや生成AIの導入だ。3DプリントやAI検品技術も組み合わせ、設計から生産までの利便性と効率を高めている」と述べた。

 義烏で「ヒット商品」が次々と生まれる背景には、「小規模だが素晴らしい」という中国製造業の新たなトレンドがある。ユーザー需要を志向とし、ショート動画で注目を集め、越境ECで転換する。整った産業チェーンと柔軟なサプライチェーンが、国際貿易のスマート化・デジタルトランスフォーメーションを加速させている。

 義烏国際商貿城に訪れている外国人バイヤー

 西北政法大学商学院教授の張夏恒氏は、「AIは中国製造業の中核競争力を、コスト優位依存から技術とブランドの二輪駆動へと押し上げている。技術による高度化は製品そのものにとどまらず、産業チェーン全体の効率を再構築し、市場投入までの期間を短縮している。これは、中国産業が労働集約型から技術革新集約型へと移行し、グローバルバリューチェーンにおいて持続可能な競争障壁を構築していることを示している」と分析。

 蘇州大学伝媒学院副院長・教授の張夢晗氏は、「SNS上で観光客が中国のテクノロジー製品を『爆買い』した体験や機能の魅力を共有することで、他者の好奇心と議論を喚起している。こうした共有は、知名度を高めるだけでなく、ブランド影響力の強化にもつながっている」と見る。

 前出の曹氏は、「中国製造はもはや単なる商品販売ではなく、世界のライフスタイルを再構築し、リードする存在になりつつある。中国は『世界の工場』にとどまらず、テクノロジー製造を基盤とする新たなグローバル消費センターへと変貌している。テクノロジーによるサービス強化とソーシャルメディアを通じた情報発信により、中国製造は世界で新たなブランドイメージを確立しつつあり、世界の消費者にスーツケースによる『投票』を促している」と語る。(編集KS)

责任编辑:杨雨婷